Alpen Hausfrau
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矛盾している模索。揺れる空想に舞い込んだ話。

5/11/2013

4 コメント

 
(前回の続き)

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まずは、旦那くんや皆からの助言を仰ごうと思いました。

「え?お店? ドイツ語を話せないのに?
 …お寿司屋さんやりたいの?」


その国の言葉が不十分な移民は、だいたい、
母国料理のレストランなどで働いていることが多いようです。

もちろんカタコトで働くのは、たぶん十分ではないけれど、
お客さんと話す内容がいつもだいたい同じで、
他の仕事よりは対応しやすそうな印象があります。


でも

「いやあ、経験ゼロの私なんかが握るお寿司でお金を頂くだなんて、できません。
 お寿司屋はやりたくないです。」

そう否定したら、案の定、かなり唖然とされました。


みんなは論理的で合理的な人達なんで
「うーん……。」みたいな感じで、黙ってしまいました。
確かに、その反応は常識的にもっともでした。

私は基本的にパソコン1台と通信環境があれば成り立つ専門職です。
それに比べて、店舗経営だなんてリスクが高すぎるし、なのに利益率は低すぎる。
なにより、肝心なドイツ語ができない。
そんなの考える前から決まってる。それなのに、なぜやりたいんだ?? (;°皿°)
なぜ今の仕事を捨ててそんな仕事をしたいのか、何一つ、理解不能のようでした。

しかも、
「素敵なお店が空き店舗になったんです♡ (人´∀`*)+゚:。*゚+」

というキッカケが原因だから、
私だって絶句してから「アホかー!!」とつっこむに違いありません。


結局、

まるで、「宇宙旅行してみたい。」と言ったかのように、流されて終わりました。



当然です。ははは。
確かにあまりにも非現実的なので、こっそり自力で調べることにしました。
それがドイツ語でだろうと、興味があるからがんばれます。
ドイツ語学習もできて一石二鳥です。

とりあえず、あの辺りの既存空き店舗物件は、
想像通り、一ヶ月当たりの金額は手が届く範囲に思える賃貸料でした。

よーし、可能性はまだある。


そう思いながら、それと同時に、

「もし本当に借りたら、本当にこのままドイツで暮らし続けることになるけど、いいの?」
などと、相反する気持ちもあって、自分の中でも矛盾していました。


回想している今思えば、
当時、「できない理由を探していた。」のかもしれません。


「これこれこういう仕方ない理由により、私にはできない。残念だ。」


だって、今までと変わらない日常を選ぶほうが、楽です。
だからやりたいことがあっても、できない理由を探すほうが、とりあえず楽なんです。
しかも、自分が問題じゃなくて「仕方ない」っていう理由が、自分に一番都合がいい。

大人になればなるほど、わりとそういう人は多いようです。
そういう事情も増えるのかもしれません。
自分に興味があることを、やり遂げた人がいたとしても、

「あの人は、特別だからできたんだ。」
「あの人は、才能があるからできるんだ。」
「あの人は、運が良かったからできたんだ。」云々。

誰かがそうして打ち消しているのを聞くと、
以前の私は、人ごとながら少し寂しい気持ちになっていました。
もしそのやりたいことが、死ぬような危険はなかったり、責任とれる範囲とかなら、
まずは挑戦してみたら?できるかどうか調べてみたら?自分が奇跡の数%かもよ?って。

(でも今は、何としてでも欲しい未来じゃないのなら、それでいいのかもしれない、と思ってます。
私は私、別の人には別の人生、事情も気持ちもそれぞれなんで、それぞれの選択です。)


元々はそういう信条だったはずなのに、何もかも思うようにいかなかった外国暮らしで、
そんな自分も少しずつ変わっていったようです。

自分の言い訳に納得して楽したい気持ちと、矛盾しながら戦い続けて、
お店屋さんをやりたい気持ちがとりあえず勝って、ゆるゆると模索し続けていました。

私は、どんな人間になりたいんだ?

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少しずつコツコツ、いろんな可能性を調べながら、
あのかわいらしいお店の窓ガラスに、不動産の連絡先が貼られるのを待ちました。
そして地元の不動産情報も確認していました。


私が何度もその建物を確認するので、息子はその空き店舗のことを
ごく自然に「ママのお店」と呼ぶようになりました。

(〃'∇'〃)
「今日もママのお店、見るの?」

悪い気はしません。
この空き店舗だらけの道で、借りたい気持ちがある私にとっては、
もうこれがすでに自分のお店のような気がしました。

目の前に立ちはだかる課題はそっちのけで、
童話のようなお店の前では、脳内童話が始まっていました。




こまめにそのお店をチェックしていたところ、
ある日、内装工事が始まりました。

床のタイルなども全部剥がして掘って、本格的に工事をしています。
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なんだろう?
古い建物だから、この機会に暖房設備を良くしてから貸し出すのかなぁ……?
ドイツの不動産事情なんて、よくわかんないなぁ…。床暖房かなぁ?


引き続き、お店の窓ガラスに連絡先が貼られるのを待ちました。
そして地元の不動産情報もこまめに確認していました。

ここは東京と違って全てがのんびりだけど、
それにしても、まだなのかなぁ。


内装工事がやっと終わって、
やっとそのお店の窓ガラスに貼られたものは



新しいお店の、大きなロゴシールでした。


( ꒪ω꒪ )!!!!!


ここが空き店舗ストリートだろうと、あのかわいい建物の価値がわかる人がいたらしく、
前のお店が閉店する前からなのか、それとも直後なのか、
とにかく閉店後に借り手を告知募集することなく、もう新しい借り手は決まっていたようです。

もしくは、私が知らなかっただけかもですけど、
特別な建物だから、空く前からずっと予約待ちだったとしても、当然のような気がしました。


そうして、私の小さな楽しみは、唐突に終わりました。


しかも、窓ガラスに貼られたロゴマークは、
建物に全く似合わないようなデザインでした。

そうじゃないのに、と心の中で勝手に思いました。


(;´Д`)=з
「ママのお店、なくなっちゃったね…。」

私の悲しい気持ちを感じ取ったのか、息子が即座に打ち消しました。


(〃'∇'〃)
「あります!
 ママのお店、あります!」


そうして、

どこかにあるはずの「ママのお店」を、
息子と一緒に探すことにしました。

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「ママのお店、どこかな? ここかな!?」

幼児と一緒に、街の空き店舗を見てまわるという、わけのわからない散歩。

そうして見ていると、どこのお店が無くなった、とか、
どこのどのくらいの面積の物件が、どのくらいの期間で埋まって、
どういう種類の新しいお店が始まったのか、少しわかるようになりました。

店舗面積が拡大していく人気店と、そうじゃないお店。
東京の常識では考えられない広告の打ち方や、お店のルール。
スタッフの数。営業日、営業時間。

いろんなことを注意深く見ていました。

そうしているうちに、他の現実的困難や、自分も病に倒れるなどして、
私のアン・シャーリー的な頭の中でさえも
「ママのお店」がただの空想として風化していく中で、


ある人から突然、良い話が舞い込んだのでした。





4 コメント
はなこ
5/11/2013 15:30:16

うわー!!
いつも楽しみにしていますよ!!
早く続きが読みたいです(*´ο`*)=3

返信
ひな
5/11/2013 21:32:33

いつも楽しく読ませて頂いております。
特にダンナくんの教育論や日本に関する面白いお話、ユーマ君の成長のお話など、声に出して笑ってしまっています。口にチョコを付けたユーマ部長の写真は忘れられません。
ご家族やご自身が身体を壊されてとても心配しておりました、ブログの更新も少なくなりとてもとても心配しておりました、友人であれば家に訪問しようかと思う位心配でした。
コメントをオープンにされていると賛否両論や返事など大変だとは思いますが、私たちは(少なくとも私は)ハイジさんのブログに精神的にとても救われています。ハイジさんのペースで構いませんので是非また楽しい記事の更新をお願いします。コメント返しは無くて大丈夫でーす。

返信
sen
6/11/2013 02:41:01

いつも楽しんで読ませていただいています。
遠い異国で奮闘されているお話を聞くと、こちらも何だか元気になれます。
次回も楽しみにしていますね!

返信
まる
6/11/2013 12:58:47

わ~♪今日も更新されてる(^-^)♪
続きが気になります!!それにしても、ユーマくん、優しいなぁ…ほっこり、温かい気持ちになりました^^

返信

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    Author

    AlpenHausfrau Heidi
    アルプスの主婦ハイジ

    ドイツかオーストリアあたりをウロウロしている。絵を描くこと、文章を書くこと、笑いをとることが好き。
    一児の母。


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