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逃げない子ヤギ。

6/6/2013

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好きな散歩道にある、ヤギ小屋。
山の結構な斜面にあって、とても景色の良い絶景地点にあります。
(注:写真は豪雨より以前です。まだ散歩に行けてません。)


この写真を撮った時、ここのすぐ近くで、ピクニック中の親子4人がシートを広げて
楽しげにお弁当を食べていました。

ヤギ小屋はなぜか臭くありません。高原でのんびりと牧草ばかり食べているからでしょうか。
臭いがしても、牧草が発酵したような、草の香りです。

一帯が牧草だし、おひさまと草の香りがしています。


子ヤギがよく柵の外でウロウロしています。
体が小さくてうまい具合に外に出られたものの、その場所がわからなくなり、戻れなくなるようです。
右の子ヤギのように、柵の網に何度も何度も頭を突っ込んでいるのを見ました。



(゜д゜;)
「逃げられないように、もっと目の細かい網にしなくちゃ。」


飼い主はなぜそんな当たり前のことをしないのかと驚きました。
私はヤギを飼ったこともないのに、自分の考えのほうが当然だと思ったのです。



それで「いつも子ヤギが外にいて、あの柵、ダメだよね。」などとダンナくんに話してみたところ、
理由を教えてくれました。


(^⊆^)
「子ヤギは、親から離れません。
外へ出られても、遠くへ逃げないんです。

だから、親が外に出られない柵にすれば、問題ないです。」



ああ、なるほど。そういう理由なのか。(///∇//)

ここでは子ヤギがウロウロしていても、散歩に来た子供が喜ぶくらいで、確かに何も問題はないのです。

Picture
この辺りでは動物の習性を利用して「こうすると車は通れても、牛はこの道を通れない。」とか、酪農・放牧地帯ならではの、いろんな知恵があります。広大な敷地に多額の費用をかけて柵などを全て完璧に作らなくても、全く問題ないのです。

それなのに、牛もヤギも飼ったことがない私が、しかも農耕文化の国から来た私が「この柵はちゃんと直したほうがいい!」と酪農文化の場所でとっさに思ったことに、自分で苦笑してしまいました。

私は何を知っているつもりなんだろう?

外国でもまあだいたいこんなもんだろう、という想定と違うことは多々あります。
異文化の、異国の人間が、私のちっぽけな知識の範囲で思うことなんて、こんなもんです。


全てにあてはまることではないけれど、自国には自国の、外国には外国の、それぞれの文化に理由があって、外国人の意見を聞いたり、外国の文化を取り入れるのも、文化背景も考慮した取捨が必ず必要だとしみじみ思います。




日本は歴史的に見て、外国の文化の良さを柔軟に取り入れる能力が非常に長けていますが、現代ではそれが一部、消化不良をおこしているような気がします。

昔は異文化が普及するまで時間を要したため、ひらがなのように自国の独自文化にまでなり得た訳ですが、ネットが普及した現代では、異文化の情報が急速に大量流入しているので、個々の取捨により方々でルールの矛盾や衝突が出る事態が起きても、何ら不思議ではないと思います。

同じ民族で、同じ国籍だろうとも、いろんな国の別々の異文化に共感して影響を受けた人達が、さらに独自解釈で細かく多様化していく様は、まるで多民族国家になっていくかのように思えます。


日本には日本の良さがあるのに、それらの良さには必然的な理由があったはずなのに、その価値は見過ごされて、いつの間にか失くしてしまった良さもあると思います。

変わらなくていいものも、たくさんあったはずなのに。


普段、外国暮らしの中で「これは良いな」と思った異文化を紹介している私のブログですが、
だからこそ、そんなことをヤギ小屋の前で、ふと思ったりするのです。




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    Author

    AlpenHausfrau Heidi
    アルプスの主婦ハイジ

    ドイツかオーストリアあたりをウロウロしている主婦。絵を描くこと、文章を書くことが好き。一児の母。


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